横浜華僑通訊 最新2018年6月号より抜粋

目次:

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横浜上海友好都市提携45周年記念  上海クルーズの旅催行

華文教育の「新たな100年」を目指して

中国語なう

新・ハローワークの窓から

順徳にルーツを尋ねる旅  Ⅱ



横浜上海友好都市提携45周年記念
    上海クルーズの旅催行

 横浜市と上海市の友好都市提携45周年を記念して、百名規模の参加者を集めた横浜華僑総会(王忠福会長)主催の上海を目指す豪華客船で行く船旅が先ごろ行われた。
 今回、一行が乗り込んだのは今春横浜へ初入港したMSC社所属のスプレンディダ号(「地中海輝煌号」137,936総トン、全長333.3m、定員4,363 名)。横浜港大黒ふ頭T3-T4岸壁に横付けされた同船の偉容がひときわ目を引いた。
 5月15日午後、参加者は三々五々大黒ふ頭のT3-T4岸壁脇に設置された大きなテント張りの仮設の出国審査場で、出国手続きを終えセキュリティチェックを抜け乗船した。
 午後8時、横浜港を後にしたスプレンディダ号は一路上海を目指し、3泊4日の航海を始めた。
 船上ではライブミュージック、大劇場で上演される世界的なエンターテイメントなどのパフォーマンスを楽しんだり、カジノでの遊興など、非日常を存分に体験した。
 巨大な船内にはプールやスポーツジム、スパなども完備され、参加者はゆったりと過ぎる洋上での時間を思い思いに過ごした。
 船内に何か所もあるレストランでは、地中海料理をはじめ、多彩なメニューを存分に堪能した。
 18日午前7時、スプレンディダ号は上海の呉淞口碼頭に着岸し、乗船客は順次上陸し、入国手続きを済ませ迎えのバスに乗り込んだ。一行は三台のバスに分乗し、車窓から市内を眺めながら、一路上海市内外灘を目指した。
 昼、外灘付近のホテルのレストランで昼食を済ませたのち、横浜華僑総会の顧問・正副会長と今回参加した各僑団の責任者らは、上海市僑務弁公室を表敬訪問した。上海市僑弁では徐力主任をはじめ、複数の責任者らが一行を出迎えた。

 上海市僑弁会議室で行われた歓迎座談会では、王会長らが今回の訪問の趣旨と意義を説明し、合わせて現在の横浜華僑の情況を紹介した。上海市僑弁徐主任は一行を歓迎し、合わせて最近の中国と上海市の情況について紹介したほか、一時間以上にわたりさまざまな事柄について意見交換した。特に本会の曽德深顧問が横浜山手中華学園の理事長でもあることから、教育に話しが及ぶと、徐力主任は上海で学ぶ外籍華人子弟を引き合いに、華僑華人教育の重要性を説き、華僑華人子弟の低学年向けの教材を曽徳深顧問に贈った。
 今回の訪問を記念し、本会から「神奈川沖浪裏」を描いた富嶽三十六景の浮世絵を上海市僑弁に贈った。
上海市僑弁訪問へ同行しなかったメンバーは上海を代表する観光名所である外灘などへ赴き、市内観光を楽しんだ。
 同日夕刻、横浜華僑総会は黄浦江を挟んで外灘対岸の浦東地区側に接岸する水上レストラン「海龍海鮮舫」に、上海市人民対外友好協会日本処の徐潔副処長と横浜市上海事務所の斎藤信明所長を迎え聯歓の為の宴会を開き、横浜上海友好都市提携45周年を祝った。
 翌19日、今回のツアー参加者の内60余名は大型バス二台に分乗し蘇州へのオプショナルツアーに参加した。あいにくの空模様で、雨の降りしきる中、午前中は江南の名刹寒山寺を訪れ参詣した。その後、蘇繍で有名な刺繍研究所「蘭莉園」で精巧な両面刺繍の制作工程を見学した。
 昼食をはさみ、午後は東洋のベニス、水の都と名高い蘇州の水郷で、観光客にも人気の山塘街を散策した。蘇州の山塘街はその昔白居易が蘇州長官時代に蘇州城と虎丘をつなぐために作った水路の街で。運河に沿って古い蘇州の街並みが再現され、石畳の両脇にはお店がずらりと並び、随所に中国独特の橋があり古き良き情緒を醸しだしている。
 その後、蘇州園林のひとつで世界遺産でもある耦園を訪れた。耦園は蘇州城東部の堀近くにある庭園で、清代末期に建築され、その後改築され現在に至る。敷地内の屋敷や庭園は江南の代表的な建築と造園の様式を現代に伝えている。
 夕刻、蘇州での観光を終えた一行は一路上海を目指した。同夜、投宿した美麗園大酒店の宴会場にて、今回のツアーの締めくくりの夕食会を開催した。

 翌20日、一行は午前と午後ふた手に別れ、日本へと戻った。午後便に振り分けられたメンバーは、午前中上海の観光名所豫園を散策した。
 今回、初の試みで100名規模の団体を率い船旅を催行したが、参加者は31歳から86歳までと年齢層は広く、且つ高齢者も多く含まれ、小さなトラブルは数知れず発生したものの、大きな怪我や病気はなく、皆が無事に日本に戻ることができた。
 スプレンディダ号はその大きさゆえ、外洋に於いても揺れを感じることがなく、快適に過ごすことができた。また、100名の参加者は船内いたるところで互いにじっくりと懇親する機会が生まれ、得難く有意義な旅となった。
 今回のクルーズ船には上海市から空路での日本観光後、海路で帰国する中国人観光客が約二千名乗船していた。決して裕福層ばかりでなく、一般企業の社員、従業員たちが家族ぐるみで船旅を満喫していた。下船当日も夕刻には再び三千名の中国人乗客を乗せて日本を目指すとのこと。おそらく本格運行される来年以降は沖縄、福岡等と並ぶ中国人の人気海外クルーズコースとなるであろう。
 中国の市民が生活にゆとりをもち、一歩一歩裕福になっていくさまを目の当たりにし、少し嬉しくなった旅でもあった。


華文教育の「新たな100年」を目指して 110
2018年度 運動会開催される


 横浜山手中華学校は5月26日(土)、市立北方小学校の校庭を借りて運動会を開催した。
 当日午前9時、運動員行進曲のメロディーにあわせて、生徒はクラスごとに整列し入場行進した。指揮台には曽德深学園理事長・張岩松校長、譚優矢家長会長が並び、教師とともに生徒の行進を見守った。
 全員が入場し整列。雄壮な《義勇軍行進曲》の調べにあわせ、五星紅旗がスルスルと国旗掲揚ポールに昇り、青空にはためいた。その後、昨年優勝した白組が優勝旗と優勝杯を返還した。
 すべての競技種目を終え、得点の集計結果が発表されて白組の勝利が告げられると、場内は歓喜するものと落胆するものとに二分された。
 今年は大使館員の子弟が通う「陽光学校」の児童たちも参加した。


中国語なう 68
 金拱门
 Jin1 gong3 men2
意味:「ゴールデンアーチ(中国マク  ドナルドの運営会社の名)」

 世界的なファストフードの雄、マクドナルド。
 中国では「麦当劳Mai4dang1lao2」」と言いますが、昨年秋に運営会社は「麦当労(中国)有限公司」から「金拱門(中国)有限公司」に社名を変更しました。
 中国のマクドナルドを運営する会社が改名したという、ただそれだけの話で、店名は今までのままで、別に屋号を「金拱门」に変えたわけではありませんが、社名変更のニュースはしばらく中国で話題になりました。
 マクドナルドは、中国語では「麦当劳(mai4 dang1 lao2/マイダンラオ)」と言い、今では大都市のみならず、各地の中小都市にもその店舗網を広げています。
 社名変更はアメリカのマクドナルド社が資金を引き上げ、中国の会社が運営するようになったからですが、多くの中国人が「金拱门(jin1 gong3 men2)」って何?と反応し、大きなニュースになり、「金拱门」という言葉がしばらく流行りました。
 この「金拱门」の「拱门」とは、アーチのことで、「拱」とは「手」を「共」にするということで、両手を合わせるという意味になります。
ちなみに、よくお正月などめでたい時に中国人同士の挨拶で、両手を胸のところで合わせて、敬意を表することがありますが、この所作のことを「拱手(gong3 shou3)」と言います。一般的には左手で右手のこぶしを握り、上下に振りあいさつやおめでたい言葉を発します。
 そこで、両手を合わせた形に似ているということから、アーチ形をしたものも「拱」というようになり、アーチ形の門は「拱门」になり、アーチ形の橋は「拱桥(gong3 qiao2)よいうようになりました。
 「金拱门」とは、つまり「ゴールデンアーチ」という意味で、マクドナルドのシカゴ1号店には、金色の2本のアーチがあったのだそうで、この2本のアーチが、マクドナルドのロゴの原型になったと言われています。
 米国に次いで大きな市場と言われる中国で、「金拱门」は中国市場の要求に沿った展開を積極的に行っていくもようで、同社が管理運営する店舗は中国大陸に2,500、香港に240以上あると言われ、今後さらなる拡大を目指す模様です。
 中国のマクドナルドはよりローカル化が進み、独自のメニューやサービスが出て来る可能性があると期待されていますが、既に朝食メニューには「脆香油条」の名で「油条」が登場し、消費者のニーズに応えているようです。
 是非、中国に行く機会がありましたら、「麦当劳」でポテトの代わりに「油条」を召し上がってみては如何でしょうか?


新・ハローワークの窓から  114
 保育所

 建設業の人材が不足している。ハローワークの外国人コーナーにもたまに、建設事業所の方が、日本語の指示がわかれば外国の方でもかまわない、紹介してほしいと相談に来る。
建設業の仕事といえばかつては「3K(きつい・汚い・危険)の仕事の代名詞だった。
 しかし、そのぶんお給料がいい。厚生労働省の『平成 28 年賃金構造基本統計調査の概況』によると、業種別、年齢層別でも平均を上回る賃金となっている。
 「きつい」といわれるのは建設現場が主に屋外で、夏は猛暑、冬は極寒のなかでの作業で、毎日泥まみれ汗まみれの仕事だからだろう。
 朝、早いのが「きついかもしれない。遅刻はできない。始業時間は決まっているので、遠い現場だと家を出る時間が1、2時間早くなるかもしれないが、終業時間も決まっていて、残業は少ない。
 毎日泥まみれの仕事はたしかに「汚いかもしれないが、最近は作業着も改良され、夕方洗濯すれば翌朝には着ることができる洗いやすく乾きやすい素材のものもある。
 色やデザインもファッショナブルな作業着、運動靴のように見える安全靴も販売されており、働く人が快適に作業できるよう工夫がされている。
 「危険」も回避できるよう安全教育が徹底され、たとえば建設に欠かせない足場を組む仕事はもちろん、足場を利用して作業をする人たちも「足場組立等特別教育」を受けることが求められている。かつては安全教育を受けずに、無知がゆえに命にかかわるような事故も発生していたが、かなり減少した。
 また仕事の省力化・機械化も進み、最近では、コンクリートの擁壁や側溝あるいは木材などの構造材も、あらかじめ工場で生産、加工したものを現場で組み付けて、工期を短縮する方法も考えられている。
 今までの男性労働者のみの職場も人手不足を背景に、最近は女性の職場としての環境整備も進んでいるようで、女性のショベルカーなどの重機運転手、女性の現場監督も活躍を始めている。
 建築物は地図に残る。 手掛けた仕事の成果が多くの人の目に触れ記憶に残ることで、これらの仕事に誇りや、やりがいを持つ人もいる。
 「3Kは、過去の話になりつつある。
ハローワーク横浜
職業相談員 李 艶薇


順徳にルーツを尋ねる旅  Ⅱ
    横浜華僑総会副会長 楊義誠

 わが先祖の地である広東省仏山市順徳区安利村の「楊氏宗祠」は近年修復され、正門前の広場には、同行した叔母(おば)が幼き日にわが父と遊んだとの記憶が残る2本の龍眼の老木が一行を迎えてくれた。祠堂(しどう)は講堂とあわせおよそバスケットコート1面ほどの広さで、まずは先祖を拝み、焼香し、楊家親族の幸福と健康を祈願し、管理維持費を預けるころには、親類と称する人たちが集まってきた。堂の裏手に今も残る無人となったレンガ造りの2間の祖父の家に案内された。さらに顔と体型が私によく似た直系の26代目の楊さんの家で役所発行の祖父名義の権利書まで見せてくれた。祖父の家を探すという今回の旅のいちばんの目的が奇跡的にかない、ここまで導いてくれたホテル専属ドライバーの陳さんに感謝。
 村長経営の海鮮レストランで昼食後、高さ世界1の88メートルの石造りの入場門を構える順峰山公園を散策し、香港行きフェリーで順徳を後にする。
 (安利村の「楊氏宗祠」は帰宅後、中国最大の検索エンジン「百度地图」のストリートビューで見出すことができた。)
 2泊3日の香港ではこれぞディープな香港という下町、油麻地の「香港萬年青酒店」に宿泊する。客室は狭いが清潔で朝食付きひとり1泊5千円弱。安い。1階にコンビニが入り、隣は昔ながらの本格メニューを揃えた大衆レストラン。周囲100㍍以内に焼臘舗、スイート店、両替商、ヒスイ・貴金属店、足裏マッサージ店などがひしめきあう。脇道、横丁、裏通りはオイラの世界と自負する筆者のテンションは限りなく上昇する。中でも夜市のにぎわいの中心の「大牌檔(ダイパイトン)」と呼ばれる相席承知の安食堂や露天は常に熱気があふれ、大声の広東語とあわせて香港のバイタリティーを象徴する。
 今回の香港旅行の目的はひたすら食べることにあり、日本では入手困難な鵞鳥や鳩の丸焼きをはじめ、ご当地素材の海鮮料理をひたすら食べまくる。そんななか、2日目の昼食後の腹ごなしにホテルまでの散歩の道すがら、上海街の北の外れで赤い小片を店先にぶら下げた店を遠目に発見。もしやとかけ寄ると「利是袋(紅包)」専門の印刷屋さん。赤と金の紙帯が壁際から立ち上がり天井を渡って時代物の印刷機に送られていた。楊姓が印刷された「利是袋」を探していたのでさっそく購入。ラッキー。
 食べまくりの旅程の中で、最もインパクトを受けたのは3日目の朝食。ホテル近くのお粥屋さんへ。「皮蛋痩肉粥」と「免治牛肉粥」をオーダー。「油炸鬼」や「腸粉」とのセットで約600円。「免治牛肉粥」はお粥の中にテニスボール大の牛肉団子が入っている。レンゲで割ると「ウッ、真っ赤、生だよ。そうか、ほぐして粥の予熱で煮えさせるのか」これに加えて別オーダーの殺したてのブタの内臓各部位をボイルした「猪雑」を粥にダンクして食す。これぞ広東人のソウルフード。ホテルのおまけの朝食をパスして正解。思い出多い旅となった。
 およそ30年ぶりに訪れた香港は中国の特別行政区となったが、言語をはじめ独自の文化を持続しバイタリティーに満ちていた。外国勢力にそそのかされた一部の独立を主張する過激派のうごめきは欧米諸国メディアの期待とは裏腹に今や市民から遊離している。一方で権利や民主を求めて若者が声を上げ、運動を展開するのは正常なことで香港には明るい未来と繁栄があると考える。中国では習近平主席の指導の下、腐敗官僚への不断な摘発が進められ、韓国では元大統領といえども収賄の罪が暴かれれば入獄となる。国のトップ夫妻による友だちへの不正な便宜の数々の疑惑に起因する政治混乱の現状に、事ここに至るもいまだ多くの若者が無関心を装い行動を起こさぬ国の未来は果たして発展か?それとも世界からの置いてけぼりだろうか?(終)